孤高の凡人

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On the Road

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琵琶湖博物館に行ってきた

私は過去、ここに来た事があった。

その時の様子は、閑散を絵に描いて額に入れリビングに飾るといったような有り様で、『酷い』を超越しており、それは私に美術館にいるような『清々しさ』を与えるには十分な『貸し切り状態』であった。

美術館の中で見る、魚たち。

いや、鯰たち。

 

わたしは鯰を愛していた。

そしてその鯰にスポットを当てたこのスポットを私は愛さずにはいられなかった。

 

鯰、なんと美しい魚であろうか。

体色は夜の闇に溶け込み、視力の悪さ所以のつぶらな瞳、いつも笑っているような口の横からは、お髭が生えており、水面に浮かぶ自家製疑似餌に果敢に飛びつくその姿は、少年の私を完全に虜にした。

 

月日は流れた。

社畜となりて迫害と剥奪を繰り返され、彼らのように自ら心の視力を退化させた私の目にさりげなく飛び込んできたチラシ広告。

 

『琵琶湖博物館リニューアルオープン』

 

行くしかない。もう一度、私は彼らに会い、少年の心を取り戻す。いや、とりもろす。

 

1日を仕事に削られ、2連休と化した3連休、その初日に私は家族をライトなバンに載せ、ハイウェイをウェーイした。

圧倒的な渋滞、休みだというのにお父さん達は疲れ果て、舌打ち飛び交いしこのハイウェイで、私一人だけがハイになってウェーイしていた。

なんといっても、今から会いに行くのは『ビワコオオナマズ』。

琵琶湖に生息する鯰には『ナマズ』『イワトコナマズ』『ビワコオオナマズ』の3種類がいる。

その中で体長1mを超える『ビワコオオナマズ』は我々鯰釣り師の永遠の憧れであり、夢であるのだ。

かつて広大な敷地に、10台以下しか停まっていなかった駐車場は満車であった。

その理由は本日が、かつて誰も来ないにも関わらず設定された滋賀県民無料デー、更にその日に合わせてリニューアルオープンさせた経営陣の本気、本気と書いてマジと読むその心意気が、滋賀県民を揺るがしたのだ。

歩くこと5分。私は驚愕した。

なんという事だ、ここはデズニーランドか。これがかつて閑散の代名詞であった琵琶湖博物館なのか。

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人々は列をなした。

ビッグサンダーマウンテンに乗るためではない、本日の目玉は『バイカルアザラシ』という、普通のアザラシと何が違うのかまったく分からないアザラシを見るためであろう。

私には違いがわかる大人と、違いがわからない大人の、違いがわからない。

 

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並ぶ事15分、正面玄関が近づくと魅力的なポスターが見えてくる。ここにアザラシを配置していれば、私は憤慨して踵を返しただろう。

 

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玄関に入るとチケットが買えると思っていた私を奈落に突き落とす『ここからチケット売り場まで18分』の文字。字の薄さと、奥にある顔らしきマグネットが、並びし人々の毛を逆さに撫でる。

しかし、職員が「滅多にあることでないので、どうかよろしくお願いしまぁす!」と絶叫している姿は美しく、過去の鬱蒼とした日々に別れを告げるようなそのトーンが、人々の苛立ちを中和していた。

 

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そして並ぶこと約45分。私は念願のチケットを手に入れる。チケットをゲットしてこんなに嬉しい気持ちになったのは、イギーポップがストゥージズを連れて来日した時以来かもしれない。

 

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出迎えてくれるのはやはり鯰である。

この壁をベルリンのように破壊して持ち帰りたかったが、怒られそうなのでやめる。

 

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これらをデザインしたのが、マヤマックスさん。私はマヤマックスさんの絵に興味はなかったが、このように私好みの鯰を描いて下さるというのならば、話は別である。サンキューマヤマックス。

 

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サンキューマヤマックス。

 

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ベリーサンキューマヤマックス。

 

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そして浮遊する魚たちと共に私は、リニューアルされた琵琶湖博物館に足を踏み入れた。

この先は、偏見に満ち満ちたレビューとなる。

それは私が頑張ってレビューすることにより、この記事を読んだ人々がここに集まり、かつての美術館のような閑散さがなくなる事を恐れた常連客ができる唯一の反抗、犯行だと御理解頂きたい。

 

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さて、琵琶湖を語る上で欠かせないのが、鮒である。

釣り人が最終的に行き着く究極の着地点が鮒釣りであり、それはもはや芸術と言っても過言ではない。あまりにも有意義な無駄。それは当ブログのような雑記ブログが目指す、最も役に立たない究極の文章と似ているのかもしれない。

なぜか隅の方に偏って泳いでいたので、激写した。

 

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水族館あるある、円形の水槽。

しかしそこに海水魚の姿は無く、地味な魚が優雅に泳いでいる。千利休の茶室を彷彿とさせるその究極のシンプルは、今流行りのミニマリストの誤った概念に突きつけるカウンターカルチャーであり、これぞパンクロック。

 

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この魚語らずして、日本人を語るべからず。

『鯉』である。彼は今からこの水流を登りきり、龍となりて、スクラップ&ビルドを繰り返すビルディングの町並みを炎に包むだろう。

 

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部屋に飾っておけば異性にモテるグッズランキング185264位の魚の剥製。

私は過去、幾度と無くこの魚の剥製を購入しようとしたが、そのお値段に精神を病み、タミフルの服用を余儀無くされた。

とても欲しい。

 

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とても欲しい。

 

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通路を曲がると、私のテンションは頂点に達する。すでに嫁、娘とはぐれてしまっているが、そんな事はどうでもよい。

『鯰ゾーン』である。

嗚呼、もう死んでもいい。

 

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天井からのライトに照らされ、地面に浮かび上がる鯰。写真を撮ろうとiPhoneを構えていると、知らない子供がキャッキャ言いながら、これを踏んで遊ぶので、撮影まで15分もかかってしまった。

 

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鯰は夜行性の為、明るいのが苦手である。

念願のビワコオオナマズはやはりその姿を見せてはくれず、土管のようなものからお尻が出ていたのでこれを激写。そのプリンケツから推測される体長は1m近くあり、私の想像力を掻き立てる。一緒にお風呂に入りたい。

 

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これも引きちぎって持ち帰りたかったが、周りに人が多く、あまりにも目立つ為断念した。

何ヶ月か後に再度チャレンジしたい。

 

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普通の鯰が出てきてくれた。

やはり私の愛が通じたのだろう。

一緒にお風呂に入りたい。

 

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鯰ゾーンを抜けると再び地味な淡水魚が泳ぎだす。群れる鮒たちを見ながら、私の靴は蒸れていた。

 

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古代魚も私は大好きである。

しかしこの大きな立て看板に反して、ここの古代魚は少ない。これは改善すべき点である。

 

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ご存知、キャビアを生むチョウザメ。

迫力を出す為、接写。

こいつとは一緒にお風呂に入りたくない。

 

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古代魚ゾーンを抜けるとそこは『微生物ゾーン』

なかなかマニアックなゾーンである。

顕微鏡で微生物を見る事が出来る。

 

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いよいよ、終わりに近づき、ふれあいコーナーに突入。子供に混じりザリガニを触っていたら、嫁と娘と再会することが出来た。

 

この後グッズコーナーが現れる。

鯰のぬいぐるみを買おうと嫁に見せたら、値段を見て却下された。

私がひざまづいて懇願する姿を写メに撮って、Twitterにアップしている人がいるかもしれないので、ビクビクしている。

 

 

以上が、私の偏った思想、思考から放たれた『琵琶湖博物館リニューアルオープン』の全貌である。

私が紹介したもの以外、いや、そちらの方が皆さんにとっては楽しいかもしれない。アザラシも写真すらとらなかった。

 

よってこの記事はレビューとして何の役にも立たない、あなたは、あなたの足で琵琶湖博物館に行き、あなたの目でその楽しさを確かめてほしい。

それしか方法が無いように思う。

 

唯一、私が言える事は、やはり鯰は最高に美しかったし、ここでしか見ることのできないビワコオオナマズは間違いなく必見であると言うこと、それだけなのだ。

 

琵琶湖博物館、マジでおすすめ。

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