孤高の凡人

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孤高の凡人

On the Road

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悪魔も憐れむ人

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嗚呼、なんということだ。試験まであと一週間しかないではないか。何をしていたのだ僕は。なぜ、もっと早くからコツコツと勉強をしなかったのか、もっとこう紀元前とかから始めなかったのか。そう、twitterで試験勉強するからバイバイですと宣言してから、勉強らしき勉強は何ひとつしていないのだ。ばかばかばか、本当に僕はばかじゃないのか、だから平凡な高校にしか進学できず、大学にも失敗するのだ。殴りたい、下から上に鋭角で。その左右不対照に生えた無精髭のあごを、グーで思い切り殴りたい。だめだ、あかぬあかぬ、そんなことをしてもなんの解決にもならない。そうだ、机だ、机を掃除するしかない、濡れた雑巾と乾いた雑巾と熟れた果実を用意して、丁寧に机を掃除…したわ。それはもうしたわ。3回はした。それに掃除したのは机だけではない、かばんを持っていない僕に憐れみを感じた嫁が貸してくれたマリメッコの白と黒の柄のかばん、それも裏返しにしてキレイに掃除した。そう、確かそれが2週間ぐらい前の話だ。思い出してきたぞ、机とかばんがキレイになると、なんだか色々気になってきて、本棚の整理を始めたんだ。そしたらいたんだ。悪魔が。いっぱい。本棚には悪魔がいっぱいいたんだ。今回はまずバガボンドという悪魔にやられた、なんなんだコレは、なぜこんなに面白いのだ。するとどうだろう、どんどん出てくるではないか。漫画が。悪魔が。AKIRA、デスコ、鉄コン筋クリート、火の鳥、ナウシカ、おやすみプンプン、ムーミンコミックス、なんだこの本棚は、宝物庫か。ばかな。これらを、今、読まずして、何が勉強だ。ふざけるのもいいかげんにしろ。建設業の資格がなんの役に立つというのか、せいぜい名刺に塩コショウをふりかけた程度だろう。はっ、しょうもない。そんなくだらないことに時間を割いてる暇があるなら、漫画を読んだ方がいい、そうに決まっている。そして、そうだな僕が集めた漫画を、皆さんに紹介することが出来れば、そんな素晴らしいことはない。シェアだ。共有だ。僕たちは共鳴するのだ。ユニゾンの精神で、ぼくと君は、6弦と1弦みたいに、鳴るべきだと、思ったんだ。

切羽詰まった夜に読みたい!おすすめの漫画10選!

 

 

 

 

 

 

すいません、勉強します。

ぼくらに難しい説明はいらない

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ベコッベコッ、ぼくは部分的に舗装された道路を歌いながら走っていた。なんでもないような日々が幸せだったと思う。なんでもないンフふーフーフー、二度とは戻れないンーフー。

2年前にブラックな企業を退職した時、ぼくは心と足を失くしてしまった。三大欲求のひとつ、性欲を欠いた代わりに物欲をランクインさせた私には、移動手段と、がらんどうになった心を満たす為に、かっこいい自転車が必要だった。

自転車屋さんで寝そべり、トイザラスでおもちゃを欲しがるガキのように、床をドンキーコングみたいにバンバン叩いて妻に懇願、かわいそうが極まって私は無事、退職祝いという名目で高価なチャリを購入する事が出来た。

そんな愛車に乗るのはずいぶん久しぶりのことである。なぜならぼくはインドア派、つまり引きこもりであり、本当は高価なチャリなんて必要なかったんだ。

埃と蜘蛛の巣を纏い、ベロベロになったタイヤは、部分的に舗装された道路の上を通過する度に、ベコッベコッと音をたてた。足の長さを考慮してギリギリまで下げたサドル、高価なミニベロの、いつまでたっても慣れないそのシャープなサドルはぼくの両足の間にあるミニをベロベロにした。

到着したよとメールが入っている。歳上のお姉さんを待たせるなんて、ぼくはなんて恥知らずなんだ。ファミマをハシゴして、蒲焼さん太郎を買っている場合じゃなかった。

ぼくはメロスより走ったし、彼女はセリヌンティウスより待っていたに違いない。

ここは京都、それも京都市。他府県民に膨張したお米を投げつけてGet out!と叫ぶ、ぶぶ漬けCity。そのぶぶ漬けCityからわずかに外れた場所、どちらかと言えばぶぶ漬かれる側の場所に目的地はあった。

周囲の雰囲気に協調性なく、突如現れるログハウス風の建物。ぼくはこのように調和を無視してオシャレさで殴りにくるカフェは少し苦手である。ぼくはアンダーグラウンド出身、隣の家の外壁に阻まれ、光が一切差し込まない部屋で、一人で青春していたんだ。オシャレなんてものはガーゼシャツにラバーソールで完結するものだと思っていた。

そんなアイデンティティを持っているにも関わらず、今回私の方からこのカフェを指定させて頂いたのには理由があって、それはつまり、モテたかったからである。おかしいよね。だってこれからお会いする相手は男性のはず。しかし、ここはインターネット。女性のフリをして釣りをする男性が多数存在するのであれば、男性のフリをした女性がいてもおかしくないのではないか。そしてそれは実際に会ってみるまで分からないではないか。

 

そんな事を考えながら、鼻息荒く、店に到着。

 

店の前になんだか鹿島アントラーズの秋田選手をオシャレにした感じの男性が立っているが、視界に入れないようにする。私はワンチャンにかけて、ここへ来たのだ。ええい!ワンちゃんのようにひざまづき、ぼくのミニをベロベロしてスタンダップさせてみせよ!きみの蒲焼さん太郎で!

 

 

「凡人くん?」

 

 

音が頭蓋を砕いた。

 

 

夢は一瞬で砕けた。

鹿島アントラーズ秋田。

 

 

OMGその人であった。

 

 

恐る恐るその人を見る。

私の眼球に飛び込んで来たものは、店の照明を後ろから浴び、後光がさしたジャケパン姿のアントラーズ秋田。

 

 

 

その

 

 

 

オシャレなズボンの

 

 

 

チャックが

 

 

 

Full throttle.

 

 

 

 

Windows fully open society.

 

 

 

完全にツッコミ待ちであった。

オシャレなジャケパンがチャックを全開にして、やあ!と言っている。ぼくは静かに黒に引き込まれ、その開ききったチャックに、心をひらかざるを得なかったんだ。

 

店内、オシャレに押しつぶされそうになりながら、必死で足を組んだりしてして抵抗するぼくを前に、OMGさんは生ビールを飲みながら、お店の名物、黒ひげバーガーを食べていた。

なんということだ、これが大人か。これがちゃんとした大人のお兄さんなのか。マクドのテリヤキバーガーをはるかに凌ぐ大きさのビッグな黒ひげバーガー、その具をこぼすどころか、添付されたトマトまで挟んで食べている。

 

乾杯、直後の完敗。

 

ぼくはデミグラスソース的なやつをぼとぼとお皿にこぼしながら、思った。

 

 

ロコモコ丼にすればよかったと。

 

 

沢山お話をした。マネタイズの話、サブブログの話、他のブロガーの話、けれどもそれらはロコモコ丼への強い思いに敵わなくて、そのmp3は脳にダウンロードされる事なく通過した。

ぼくらを長い時間同じ空間に存在させたのは、本当に一欠片のアイデンティティだった。

彼の言葉を自分のカフェオレに混ぜ、ぼくはそれを啜った。アートは現代社会をただ生きていくには必要ないものだ。けれども人間が会話を始める、そのもっと前に、人は壁に絵を描いたし、子供は字を覚える前に、絵を描く。

芸術はもっとぼくらの身近にあっていいはずなんだ。それは音楽も、文学も同じ事だと思う。

ぼくたちはもう朝まで遊ぶ体力の残っていない30代。黒ひげバーガーを貪りながら、ひらいたチャックや、心の隙間に部分に、互いにエモいナイフを突き刺して飛ぼうとした。飛ばねぇリーマンは、ただのリーマンだ。そう自分に言い聞かせるように。

 

オフ会なんてやったところで、結局何も変わらない。

ぼくはOMGさんが選ぶ、アートがとても好きだ。

 

これまでも、これからもただそれだけ。

 

ベコッベコッ、帰り道、部分的に舗装された道路の上を通る度に、ケツの穴が響く。

 

なんでもない夜のこと。

 

www.omg-ox.org

嫁のシャウト

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あのさ、帰ってきても一言も喋らんと、毎日毎日パソコンで一体何をやっとんねん。娘の音読もろくに聞かんとやかましい暗い音楽ばっかり聴きやがって、こっちまで暗なるわ。叩き壊すぞそのスピーカー。パンク?ロック?いつまで言うてんねん、そんなもんモラトリアム期間で済ませてこいよ、最後に履いたドクターマーチンに突っ込んで捨てるべきものだろ。死んだんだよ。ロックは。死んだんだよ。きみは。台所の雪平鍋の取れかけた取手を、器用に修理した時にきみのアイデンティティは砕けて散ったんだよ。排水溝にネギと豆腐の欠片と共に、流れていったんだよ。いつまでしがみついとんねん。豆腐かお前は。ほんでなんや、ぴこぴこぴこぴこ、何をしとんねん。ブログか、見たわ。嘘ばっかりつきやがって、吉田羊さんにアピったことは今、ここで、今、すぐ、あたしたちに対してやるべきことちゃうのか。書いてる暇があれば、そこに落ちてるご飯粒のひとつでも拾って食えよ。ほら食えよ。人のコンテンツ見たり、人の感情に引っ張られて、ブレてんじゃねぇよ。きみはいつもそうだ、自分がない。あらゆる相手に合わせて演技する道化だ、大庭葉蔵か。まさに人間失格やんけ。あのな、言うたるわ。きみという存在はどこにもないぞ。虚無や。ニヒリズムなんてかっこいいもんちゃうぞ、靴下に空いた穴から見える伸びた爪と肉の間に挟まった、なんかようわからん臭いやつや。そんなカスみたいな虚無や。褒めて欲しいか、愛してほしいか、抱きしめて欲しいか。そのRetinaですらないディスプレイに何を求めてんねん。その向こう側には誰もおらん、わかるか。虚像や。ワンダと虚像や。山のように動く、寂しい寂しい巨像や。それは人間とちゃう、テリヤキバーガーの包装紙に残ったレタスや。包まれ捨てられるレタスや。きみはそのレタスおいしいおいしい言うて食うんか、ええわ、食うたらええわ。よお似合とるわ。あのな、やるな言うてんのちゃうねん、バランス考えろ言うてんねん。きみはすぐ夢中になって盲目的にのめり込んで出られんようになる。ほんまめんどくさい、その度に沼から引っ張りだすこっちの身にもなれや。書いたらええよ、絵も、文章も。釣りも音楽も好きにやったらええわ。せやけど忘れんな、両輪がうまいこと回らんと真っ直ぐ進まへんという事を忘れんな。感情と技術の両輪が。知恵と知識の両輪が。あたしとあなたの両輪が。

わかったか、よし、お風呂入ってこい。出てきたらアイス買ってあるから食べようね。

空は暗い、僕はクライ

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  このところ、台風に始まり雨天が続いており、仕事が捗らないことこの上ない。私は建設業で働いており、建設業といえば、コンビニエンスストアに脚立を積んだ軽バン、或いはセンスの欠落したビカビカのホイールを履いたハイエースで乗り付けて、ジョージア微糖とマルボロアイスブラスト、ファミチキ或いはLチキを店員さんにタメ口で指示、はよもってこい、はよもってこい、俺のファミチキはよもってこいと急かし、それらの入ったビニール袋をブンブン振り回しながら車に乗り込んで、ウィンドウのレバーをぐっるぐる回し、窓から汚いカーゴパンツから生えたクロックスのバッタモンを放り出して、くっちゃらくっちゃらファミチキを貪り食い、マルボロをふかし、ジョージアをがぶがぶ飲み、エグザイルとか、その下請け的な三代目のやつをガンガン流して、周囲の善良な市民に散々迷惑をかけるような下の下、最底辺のゴミカスであるが、そんな我々ゲノゲの鬼太郎たちも、日々、ビクビクしているものがあり、それは何かと説明すると、雨。雨なのである。

  建設業の半数程は外で仕事をする業種であり、外で仕事をする以上、雨が降っていては仕事にならない場合が多く、折角しごいたモルタルや、折角塗った塗料が流れて、真っ白になった地面を見つめながら、あゝ茫洋と中原中也みたいな事を呟いてしまうから、やはり雨は堪忍してほしいのである。

  この時期になるとゲリラ豪雨やゴリラゲイ雨が多発して、予測不能のタイミングで慈悲の欠片もないような雨が降る為、建設業の人々は休憩の度に、ウェザーニューズやYahoo天気予報の雨雲レーダーをチェケラしたり、スティーブジョブズが見たら絶叫して死んでしまうようなダサいケースに入ったパズドラ以外に使い方の分からないiPhone6プラスをぽちぽち設定して、雨が降る前に知らせてくれるアプリをダウンロードしたりと、それぞれ工夫に余念がない。

  しかしそんな付け焼き刃で対抗できるほど自然のエモさは単純ではなく、やはり雨は予測不能、これが10年間かけて出した私の結論なのである。

  雨が降れば現場作業は中止せざるを得ない、作業を中止するという事は、先延ばしになるということであり、これが蓄積すると、現場が完了しないまま次の現場が始まるという、地獄が始まるのだ。ヘルが始まるのだ。ヘルメットを被るのだ。

  次々と現場が重なると当然作業員が足りなくなり、作業員が足りなくても、当然現場は施工しなければならない。じゃあどうなるかと言うと、我々番頭が現場へ出て、作業をしなければならない。

  というわけで、ここのところ私は現場で作業をしているのであるが、普段から体を動かしていない為、ヘトヘトになり、筋肉に乳酸的なやつが溜まって、繊維が破壊されたりして、なんだかもう産まれたてのスマトラカモシカのようになりながら帰宅して、泥のように眠るという日々が続いている。

  本日も、ヘラヘラになりながら帰宅。ポケットからジャラジャラと鍵を取り出し、玄関を開けると、リビングで椅子に座る妻の姿が見えた。

  ただ座っているだけではなく、背筋をピンと伸ばし、両足の膝を付けてシュッと座っている。

  怒られる。私はそう思った。しかし何がいけなかったのだろう、心当たりはないと言えばないし、あると言えば、めっちゃある。

  妻の財布から一万円札を軽やかに抜き取り、ライブイベントに出かけた事だろうか、それともはてなブログをプロ版にした時に発生した代金を、googleアドセンスが振り込まれたら返すと言っておきながら、振り込まれた瞬間下ろして、ルアーを購入したことだろうか、或いは娘の玩具を主観的にトキメく、トキメかないで仕分け、トキメかない物を勝手に土嚢袋に詰め込んで捨てていることがバレたのか。

  他にも少し考えれば、芋づる式に出てくる数々の犯行であるが、私のアリバイ工作や、証拠隠滅スキルは、8年という結婚生活の中で、妻のボディと反比例してカルチベートされているはずなので、おそらくこれらの犯行はバレてない。

  だとしたら、なぜ妻はこのように椅子に座り、シュッとしているのか。私が恐る恐る質問したところ、どうやら先ほどテレビジョンで放送されていた熊田曜子さんのダイエット法であるらしく、座る際に常にこのシュッとした感じをキープすることによって、やがてボディもシュッとなり、熊田曜子さんみたいなボンキュボンになることが可能であるらしい。

  素晴らしいなぁ、私の犯行に気がつかないばかりか、ダイエットまで試みて、熊田曜子さんになろうとしている妻。アイラビュ、出会えて良かった、私も心を入れ替える、これからは財布のおぜぜを盗んだり、色彩的に自身の好みに沿わないという理由から、娘の大切にしているプリキュアグッズを勝手に捨てるといったようなことはもうやめて、真っ当に生きていく。それを伝えようと妻の椅子に近づいたところ、いきなり妻がバッと立ち上がり、「もう無理!足痛い!」と言い放ち、座布団を二枚並べ、洗濯物のバスタオルを重ねたものを枕に見立て、上方落語を見始め、ケラケラと笑いだした。

  その姿は熊田曜子などではなく、熊のようであった。

  私は机に置いてあったプリキュアカードを一枚手にとって、それをゴミ箱へ捨てた。

吉田羊さんのヒモになりたい

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世間では己の承認欲、物欲、その他あらゆる煩悩を満たす為に産まれたばかりのやや子を保育所に預け、働きに出る母親が多い。無理して買った黒いベルファイアに乗って、テロテロの湯葉みたいな機能美の欠片もない高級ブランドのカーディガンにベーコンみたいな体をねじ込んで、そのギャグみたいなドヤ顔をSNSに投稿してくるような母親が溢れていて、とてもハ短調な気持ちになっている。

基本的に私は、できるならば妻は家にいて釜で飯を炊いたり、畳を乾拭きするなどしながら、子育てというものに専念して欲しいという若干古臭い考えを持っている。だけど私は高卒の芸術家崩れの落ちこぼれ。更に現在は建設業という下の下。そんなボトムノッカーが上記のように自身のおぜぜのみで家族を養っていくには、人を騙し、蹴落とし、その屍の上でタップダンスを披露するぐらいのメンタルが必要であるのだが、やさしいやさしいイエスマンの私にそんな鬼畜のような所業が出来るわけもなく、じゃあどうしているのかと言うと、生活費を切り詰めるしかないわけで、最近は丸亀製麺で一杯のかけうどんを家族三人で分け合い、小さな幸せを山椒の実と一緒に噛み締めるといった質素な生活をおくっている。

しかし人間はやはり愚かな生き物で、そのように古風を気取って頑張るフリをしたところで、やりたくないことはやりたくない。好きな事だけをして、一生遊んで暮らしたい。働きたくない。働きたくない。働きたくない。働きたくない。だって元来、私は歌とかお花とかが大好きなのです、そんなかわいいボーイが建設業という学歴だけで全くロジカルな会話が出来ない元請けゼネコン監督や、擬音語だらけでもはや何を話しているのか分からない下請け作業員と打合せをしたり、暑い夏に屋上で、寒い冬に屋上で、溶剤やモルタルにまみれながら地べたを這ったりしなければならず、ヤダモンの骨頂。

私は考えた。目から血が出るぐらい考えた。そして思いついた。ブログでお金を稼ぐ事を諦めた今、定職に就かず、私が私らしく快活に生きていく為に残された手段はたった一つしかない。

それは『ヒモになる』というである。

しかしヒモになると言っても、妻が働いてしまうと本末転倒だし、他の女性のヒモでなくてはならない。ただお金をたくさん持っているとか、それだけではしんどい。いくらお金持ちでも、顔面がキュビスムみたいな女性は、しんどい。恥をしのんで正直に申し上げると、私は『吉田羊さんのヒモになりたい』のである。

我儘を言ってる事は承知の上である。しかしそれは私自身の『ヒモ力』を考慮した上で言わせて頂いているので、ご理解下さい。

さて、『吉田羊さんのヒモになりたい』という夢を持った私が、今何をするべきかと言うと、それは吉田羊さんにアピールする、ただこの一点であり、以下は私が私自身の『ヒモ力』をただひたすら吉田羊さんにアピールするだけの内容となるので、吉田羊さん以外の方は、申し訳有りませんが、ここでお帰り下さい。ゲラウっ!

 

では吉田羊さん、私があなたにまず言いたい事は私は絵が描けるという事です。そうです。絵を描いてあげます。受験こそ失敗しましたが、一生懸命画塾へ通い、積み上げた技術は、きっとあなたに絵を描いてあげる為だったのでしょう。似顔絵、風景、カタツムリ、お花の絵、何でも構いません。あなたが撮影などで、疲れて帰ってきても、私が昼間に描いた美しい絵があなたを癒すことでしょう。

次に、吉田羊さん、私は音楽を演奏します。ギター、ブルースハープを演奏します。基本的にバンドというスタイルで演奏したことはありませんが、ジャムセッションで培ったグルーヴ、話の合う友達がいないことから始めた宅録一人多重録音。これらの経験を生かして、あなたの為だけの音楽を聴いて頂くことが可能です。

そうだ、吉田羊さん、自然はお好きでしょうか。自然は疲れた精神を癒してくれます。釣りに行きましょう。餌釣り、疑似餌、毛針、様々な手法を会得して、道具もございます。ある時は激しいスポーツのように、ある時は静かに瞑想するように、あなたのその時の感情に合わせて、最も適した釣りをチョイスしてあげます。

吉田羊さん、座りにくそうですね、その椅子は高さが合っていないのではありませんか?任せて下さい。私は過去、家具職人として腕をブンブンに唸らせておりました。あつらえましょう、棚も、テーブルも、椅子も、全てあなたにドンピシャの寸法で作り直しましょう。お値段以上とは私のことです。

嗚呼っ!吉田羊さん!リビングが雨漏れをしています!でも心配はいりません。私は建設業で働いています。あの漆黒の闇のような時期も、あなたのヒモになる為だと考えると合点がいきました。業者?必要ありません。私は職人の経験を経た現場監督です。時間さえあれば一人で改修工事(書類込み)を終わらせる事が可能なパーフェクト土方です。そうだ所持資格をご覧ください。

技能講習

ウインチ巻上げ機、ゴンドラ取扱、玉掛け1t以上、研削砥石、高所作業車10m以上、職長・安全衛生責任者、特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者、有機溶剤作業主任者

資格

単一等級樹脂接着剤注入施工技能士、一級防水施工技能士(ウレタンゴム系塗膜)、一級防水施工技能士(シーリング)、建築診断仕上技術者(ビルディングドクター〈非構造〉)、コンクリート構造物背筋探査技術者、連続繊維施工管理士

どうですか吉田羊さん、あなたの住まいをたった一人で守り抜くソルジャーだとは思いませんか。

そうそう、吉田羊さん、私の維持費の話ですが、基本的に風呂が嫌いなので、光熱費も節約が可能です。酒も女もギャンブルもやらない人畜無害なお花好きだし、更に少食なので、わずかなじゃがりこを与えておけば、文句一つ言わずに懸命に『ヒモ』を全うします。ジャンガリアンハムスターを飼うような感覚で、家に置いて頂けると、なんとなく好きな事をしながら、あなたを楽しませる事が出来ると思うのですが、いかがでしょうか。

最後に吉田羊さん、上記雄弁に自分語りをして参りましたが、私は人見知りのコミュ障なので、気配をまるで空気のように消す事が可能です。万が一、吉田鋼太郎さんが家にいたりしても、こちらヒモサイドとしては何の問題もありません。

以上です、吉田羊さん。ひとつもデメリットがないと思います。ご検討下さい。

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